穀物
穀物とは 【grain】
穀物の定義・意味など
穀物(こくもつ)とは、人間が食料としている植物のうち、デンプンなどが豊富に含まれるものをいう。
穀物の範囲
穀物には、狭義の穀物と広義の穀物がある。
前者はイネ科の植物の種子を指し、後者はイネ科の植物のほかにマメ科やタデ科の食物の種子も含まれる。
夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、278項。
なお、穀物は生物学的・植物学的な分類ではなく、人間の食を基準に作られた分類である。
要するに、人間が食用にしたか否か等で決められた、極めて恣意的な分類と言える。
夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、278・277項。
穀物の分類・種類(具体例)
穀物は、広義では稲(米)・麦類・トウモロコシ等のイネ科植物のほか、豆類、ソバなどがある。
なかでも、稲・小麦・トウモロコシは世界の三大穀物と呼ばれている。
また、米・麦・トウモロコシを主穀、それ以外を雑穀と呼ぶが、裏を返せば、人間にとって米・麦・トウモロコシがそれほど重要だったということである。
夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、278項。
- イネ科
- 主穀(しゅこく)…イネ科のうち、主食である稲(米)・麦類(小麦・大麦・ライ麦)・トウモロコシ
- 雑穀(ざっこく)…イネ科のうち、主食ではない粟(あわ)・稗(ひえ)・黍(きび)
- マメ科
- 菽穀(しゅこく)…豆類
- タデ科…ソバ
- 擬穀(ぎこく)…ソバ
穀物のメリットとデメリット
穀物のメリット
穀物は水さえ調達できれば栽培できるので、未開の地は耕地に変身し、その地で食料調達が可能になる。
参考:夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、319項。
また、穀物は長期保存が可能であり、かつ、生産性も高い(狭い耕地で大量に収穫できる)。
同上 276頁。
穀物のデメリット
栄養
糖質を主成分とする穀物は「空腹を満たす物」としては優れているが、タンパク質と脂質に乏しいため「食料」として優れているわけではない。
参考:夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、320項。
穀物の目的・役割・意義・機能・作用など
作物(農産物)の中心
穀物は農業生産の中心である。
主食の概念
穀物にはデンプン※やタンパク質が豊富に含まれ、また、その栽培の容易さと保存性の高さ等から、人間が主食とする。
※穀物は高濃度のデンプンを含み、甘みがあるので、美味な食物になる。
夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、328項。
なお、主食という概念はあくまで農耕から始まったものに過ぎない。
つまり、農耕が始まったことから、穀物を主食、それ以外を副食とする概念が生まれたのであり、主食という概念は農耕開始以降に生まれた共通幻想である。
江部康二 『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 糖質制限食のすすめ』 東洋経済新報社、2014年、106-107項。
家畜の飼料
穀物はまた家畜を育てて食肉とするため、膨大な量が消費されている。
実際、世界で生産される穀物の1/2、トウモロコシの2/3が家畜用飼料として消費されていて、アメリカに限ってみれば、生産されるトウモロコシの約8割が家畜用飼料となっている。
夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、130項。
人類の発展
穀物は、食料の安定=年ごとに変動する降水量や気候に左右されやすい狩猟採集生活からの脱却を可能にし、人口の爆発的増加をもたらした。
参考:夏井睦 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 光文社新書、2013年、319項。
また、穀物は人類文明を発達させた原動力であり、人類文明の発展を支えてきた縁の下の力持ちである。
同上 276・330項。
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